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本について
Secrets of Great Portrait Photography: Photographs of the Famous and Infamous は、肖像写真をただの技術課題としてではなく、人の存在感や物語を写し取る仕事として捉え直したい読者に向けた実践的な一冊です。ピュリツァー賞受賞フォトグラファーである Brian Smith は、三十年にわたって著名人やさまざまな立場の人物を撮影してきた経験をもとに、優れたポートレートがどのような判断の積み重ねで生まれるのかを具体的に語ります。本書が重視するのは、単なるカメラ設定やライティング機材の知識だけではありません。撮影前の準備、被写体との関係づくり、意味を持つ場所の選択、光を人物の雰囲気に合わせる判断、そして短い時間のなかで何を優先するかといった、現場で本当に効いてくる要素をまとめて考える視点です。そのため、職業写真家の経験談として面白いだけでなく、日々の撮影に持ち帰れる判断材料としても読む価値があります。
本書の大きな特徴は、ポートレートを「人をきれいに写す技術」ではなく、「その人らしさをどう引き出して見せるか」という関係的で物語的な行為として扱っていることです。Smith は、被写体とどう打ち解けるか、どんな場所が人物像を補強するか、ポーズをどう導けば不自然さを避けられるか、どのような仕草や感情が性格を伝えるのか、さらにグループポートレートをどう構成すれば単なる整列以上の意味が生まれるのかを語っています。ライティングも同じで、難しい技術の誇示ではなく、空気感、物語、人物の存在感を支えるための手段として扱われます。すでにカメラ操作には慣れていても、自分の肖像作品がまだ平板で、個性や感情の厚みが足りないと感じている読者には、とても実用的な示唆が多い内容です。
利用可能な紹介文からは、著者が実際の編集予算や非常に短い撮影スケジュールの中で仕事をしてきたこともわかります。ときには十五分ほどしかない著名人撮影の現場で結果を出してきた経験があるため、本書の助言は理想化された大規模制作ではなく、優先順位の判断に根ざしています。つまり、何を最初に見るべきか、どこから解決すべきか、限られた時間でもどうすれば強い一枚に到達できるかという視点です。題材の一部は著名人ポートレートですが、そこで得られた学びは有名人に限られません。どんな相手でも、敬意を持って向き合い、その人にふさわしい見せ方を考えるという態度こそが本書の中心にあります。人物とのコミュニケーション、場所選び、ポージング、感情の拾い方、グループ構成、肖像ライティングをまとめて磨きたい人にとって、長く参照できる実践的なガイドです。特に、人物写真を撮っていても、問題がコミュニケーションにあるのか、場所選びにあるのか、ポーズの導き方にあるのか、あるいは光の判断にあるのかを整理できずにいる読者に向いています。個別の小技ではなく、撮影全体の流れを見直すための本として読める点も大きな魅力です。
仕様
- 出版社
- New Riders
- 年
- 2013
- ページ
- 255
- ASIN
- 0321804147
- 言語
- English
- フォーマット
- Kindleペーパーバック
- ISBN
- 0321804147