Ihagee Exa 1:ミラーがシャッターを兼ねる異色の35 mm一眼レフ
ドレスデンで作られたIhagee Exa 1は、35 mm一眼レフのクイックリターン前夜に、可動ミラーそのものをシャッター遮光板として機能させる独創的な機構を採用しました。ヒッチコック監督の映画『裏窓』でジェームズ・スチュワートが構え、ヨゼフ・コウデルカがプラハ侵攻を記録した名機キネ・エキザクタの廉価版として開発されましたが、その構造ゆえの実用上の制約も抱えています。
フラップシャッターと100 mmの望遠制限
Exa 1は一般的なフォーカルプレーンシャッターの布幕を持たず、ミラーボックス内で連動する2枚の金属フラップで露光を制御します。シャッターボタンを押すとミラーが跳ね上がり、1/30秒から1/175秒およびB(バルブ)までの限定された速度で光を遮断します。
ミラー室内部で開閉するこの構造は、長焦点レンズにおいて光学的な障害となります。100 mmを超える望遠レンズを装着すると、フラップの開口部が光束を遮り、画面四隅に著しいケラレ(口径食)が発生します。そのため実用域は標準や広角レンズに限られます。また、露光後はフィルムを巻き上げるまでファインダー像が暗転したままとなります。
左手操作のエルゴノミクスとオールドレンズの個性
イハゲーは日本の一眼レフが右手指操作を標準化する前のレイアウトを維持しており、シャッターレリーズボタンはボディ前面の左上に配置されています。左手で本体をホールドしながら人差し指でシャッターを切り、右手でピントリングを操作するスタイルは現代の撮影者には独特の感覚を与えます。
標準セットレンズとして広く流通したE. Ludwig Meritar 50mm f/2.9は、伝統的なCookeトリプレット設計を採用しています。当時のZEISS製レンズのような均一な解像力とは異なり、開放付近で現れる滲みと円形ボケが、フィルムポートレート愛好家に再評価されています。
| 項目 | Ihagee Exa 1 | Ihagee Exakta Varex |
| シャッター形式 | ミラー連動フラップシャッター | 布幕フォーカルプレーンシャッター |
| 最高シャッター速度 | 1/175秒 | 1/1000秒 |
| 推奨焦点距離 | ケラレなしは100 mmまで | 望遠レンズの制限なし |
| レリーズ位置 | ボディ前面左側 | ボディ前面左側 |

作例写真はこちらのリンク先で確認できます。
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